午前9時

吉沢君が私のアパートにやってくる。吉沢君は半年前に知り合った新興宗教団体の会員だ。彼はいつも手土産を持ってくる。今日はぶどうグミを3袋くれた。何故ぶどうグミなのか吉沢君に尋ねると、「教祖様が持って行けって言うから」だそうだ。

 

すると、これまで彼はその教祖様に言われて手土産を持って来ていたのだろう。あの何の動物か分からない木彫りの人形も、金魚の餌も、地下足袋も。私は金魚を飼っていないと言うのに。どういう理由で教祖様は選んでいるのだろうか。

 

 午前11時

吉沢君は2時間近く喋りっぱなしだった。どうも最近になって精霊が見えるようになって来たらしい。精霊が見えるようになると、彼の団体の中ではかなり序列が上がると話していた。とても興奮していた。

 

ちなみに、吉沢君は36歳独身。両親の影響でその宗教団体に所属し、今となっては両親以上に熱心な会員となっている。精霊が見えるようになったので、来年度からは青年部の部長になる。

 

午後1時

吉沢君はこれから会合があるからと帰った。私はお腹がすいたので、彼からもらったぶどうグミを食べながらカップラーメンに使うお湯を沸かした。けれども、カップラーメンは無かった。

 

買い置きがあったはずだけれど、いつの間にか食べて忘れていたみたいだった。私はコンビニに買いに行こうとして、そして彼女と出会った。

 

午後3時

吉沢君が忘れ物をしていった。それは彼が見えるようになったと言っていた妖精だった。彼女は東北きりたんと名乗った。

 

けれどもおかしい。東北きりたんといえばAHSが販売しているVOICEROIDではないか。もしかして、きりたんとは妖精だったのか?

 

午後6時

話しを聞いてみると大体の事情が分かった。どうやら吉沢君は妖精が見えるようになったのではなく、彼の妄想が独立して意思を持ってしまったのだ。いわゆる、タルパなるものではないだろか。

 

きりたんは言った。「カップラーメンごちそうさまでした」、と。非常に行儀のよい子ではないか。勝手に人の物を食べたのはいけないけれど、今日の私は気分が良いので許してあげた。冷蔵庫から勝手にコーラのボトルを出してラッパ飲みした事も許してあげた。

 

「じゃあ、私は帰りますね」

 

きりたんは手を振って帰っていった。吉沢君の所にではなく、東北のどこかへと。彼女はきままな性格の様だ。でも、吉沢君の所に戻らないのは良い判断だろう。彼はきりたんばかり見ていて、そのうち車道に飛び出してはねられてしまいそうだから。

 

午後8時

私は1つの決断をした。それは、きりたんに再び会うために東北へ行くと。きっと彼女は秋田のどこかにいるだろう。

 

 

 

 

まとめ

この日記は嘘なので信じないように。

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